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コールナンバー ダブルJ

国際秘密警察スペシャル(S)メンバーと呼ばれる男達のお話です
Posted by  朝倉 淳

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Posted by  朝倉 淳

いらっしゃいませ


 淳のお話ブログへようこそ


   「なんでも書いていいノート」を友人達でまわして好き勝手な事を書き・・そこから生まれたお話が、この「コールナンバーダブル J」です。

  ならば、登場人物も私や友人達のお気に入りアニメキャラにしよう。国際秘密警察なんて本当はいないから(当時、そう思っていました)自由に書けていいよね、と安易な設定で書き始めたお話が、昭和を生き抜き、中断があったものの平成の世で再び甦るとは思っていませんでした。

  サブタイトルは「昭和(S51~S57)」「平成(H18~ )」にわかれます。
  何も考えずに書きなぐった昭和。少しは考えて・・でも書きなぐっている平成。
  しかし元々自分が楽しむために書いたものなので、他人様には読みにくい所が多々あります。でも文章がよほどおかしくない限り、当時のままを載せようと思います。

  では、下記の一覧よりお入りください。


  コールナンバーダブル J  サブタイトル一覧へ

  ※  S51~S57   ⇒    一覧へ
  ※  H18~         ⇒    一覧へ
  ※  登場人物紹介

  ※  淳のたからもの      ⇒    一覧へ   

 

   お話は1話完結ですが、シリーズ物なので最初から(上記一覧の上から順番に)読んでいただければ、詳細もわかってよいのですが、「細かい事は面倒くさい!でも、ちょっと読んでみてもいいかも」という方はこちらへどうぞ─

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Posted by  朝倉 淳   0 comments   0 trackback

闇に輝く光の下(もと)に 9


「栃木? MOX エンジンシステムの電波は栃木から発信されたのか?」
『中禅寺湖の近くだ。データを送る』と、モニタに映った高浜が消え北関東の地図が表示された。中禅寺湖と戦場ヶ原の間に赤い点が点滅している。『その赤い点の周囲5キロ以内だそうだ。これ以上は通信課でも無理だ』
「わかった。西崎に伝えて出動の準備をしてくれ」
 ラジャと声だけが響く。
 ジョーとの通信が途切れてすでに1時間が経つ。向こうの様子がわからないのでこちらからは入れないようにしているが─。
 と、室内フォンが神宮寺を呼んだ。

 ─ お前の名前は? ─ 所属を答えろ ─ 国際警察か? ─
 同じ声が同じ言葉を繰り返す。ジョーの耳に入り込み、しかしすぐに出て行った。
 後に残るのは白い空間、そして混沌 ─
 ─ 同じ声が同じ言葉を繰り返す。ジョーの耳に─

「だめだ。こいつ何もしゃべらない」スコットが舌を打った。「もう1本打つか?」
「これ以上打ったらかえってしゃべれなくなるぞ」
 イスに後ろ手に結わかれているジョーを見下ろしアンディが言った。

 建物内から不審な電波が出ているのを調べに行ったスコットを振り切り、ジョーが逃げ出した。だが途中研究室に入り、侵入者対策用の空気銃に撃たれ気を失っているところを見つけ尋問しているのだが、
「交代するよ、スコット。後はおれがやる。君は車の方を見てくれ」
 OK とスコットが出て行った。と、ジョーがゆっくりと顔を上げた。ぼやけた視線を目の前に立つ男に向けた。それがアンディだとわかったのだろう。目を見開き光が戻る。ジョーのブルーグレイの瞳が真っ直ぐにアンディを射る。
「やはりよく似ている。いや、お前の方が深く神秘的だ」
 アンディはジョーのアゴに手を添えグッとさらに顔を上げた。小刻みに息を継ぐジョーは一瞬目を眇めたが、それでもアンディから目を離さなかった。
「お前、イタリア人だろ。ボルツァーノを知ってるか」
「!」
 ジョーの貌が固まった。驚愕に震える唇を、だが必死に噛みしめる。
「お前と同じイタリア人で同じ目の色をしている。いや、お前より少し薄いかな」
「・・・おれはイタリア人じゃない。ボルツァーノなんて奴は知らない」言葉が震える。それを隠すためゆっくりと口を動かす。「木梨が、ザーツにはイタリアのマフィアが出入りしていると言っていた。そいつがそのボルツァーノという奴なのか?」
「それは昔の話だ。ボルツァーノはおれがイタリアにいた頃の対立相手でね。ひどい目に遭った。お前があいつの一族ならちょっと仕返しさせてもらおうと思ったが」
「・・・ザーツには出入りしているイタリアマフィアはいないんだな」
「手柄にならなくて悪いがいないね。木梨の奴、お前を見てとっさに言ったんじゃないのか?」
(いない・・・)
 その言葉を噛みしめてジョーはイスの背に頭を預けた。枯葉色の髪がサァと流れる。安堵感で今の状態などどうでもよくなってしまう。
「寝るのはまだ早いぞ。お前の所属部署を言え」
 グッとジョーの髪を掴んだ。
「走行テストに協力してやったのにこの仕打ちかよ」
「元々はおれがドライバーを務めるはずだった。だけど以前お前に撃たれた傷が治ってなくて─。だからお前が協力するのは当然だ」と、勝手な事を言い、「そうだ。お礼にいい物を見せてやろう」
 アンディはパソコンを立ち上げモニタをジョーに向けた。
「お前も見ただろう。MOX エンジンシステムを搭載したマークX だ。お前のおかげでボックスは無事だったからな。以前から用意していたマークX に移動できた」
「こりねえな。あんた達が造った試作品は不完全だ。危ないぜ」
「その危なさをアピールする。人のたくさん集まる所で暴走したらどうなるかな」
「な、なんだと」
 ジョーの全身に力が入る。ロープがギュッと体を締め付ける。
「この車は日本政府がバックとなり開発され、危険なMOX を動力として用いられている。そしてこれが事故ると大惨事になる。と、説明して爆走してみせる。そのキャンペーンをしてくれるのがあの公安官だ。さしずめMOX エンジンシステムのキャンペーン・ガールだな」
「せ、関がキャンペーン・ガール・・・」ふと脳裏に浮かんだ映像を─ ジョーは頭を振って払い除けた。「そんな気色悪い事はやめろ」
「この車は予め行き先を設定できる。止めようとするとMOX エンジンシステムが爆発する仕組みだ。公安官諸共な」そしてアンディはジョーの瞳を覗き込む。「いい眼をしている。ボルツァーノと一緒だ。敵ながら大した奴だった。お前と似ている」
「・・・・・」
〝ボルツァーノ〝 の名をジョーは何回聞いただろう。だが会った事はないし顔も知らない。わずかでも血が繋がっているのなら似ているかもしれないが─。
 ふとロレンツォとトーニの顔が浮かんだ。彼らもそう思っているのだろうか。ジョーとボルツァーノは似ている─ そう思いながらジョーを見ているのか。
「シニョーレ・・・」
 かすかに呟いた。何かをしゃべってしまいたい。何かを・・・。
「話す気になったか? なんでもいいぜ。話してすっきりしろ。そしたらおれ達の仲間に入れる。お前ならすぐ実戦で─」
 アンディの声がだんだん小さくなっていく。何かをしゃべってしまいたいのにそれができないジレンマとずっと戦っている。
 そんな状態から逃れるためにジョーは意識をシャットダウンしようとしたが、
「こらっ、寝るのはまだ早いぜ!」
 思いっきり頬を撲られた。口の中に血の味が広がる。が、おかげでジョーは開きそうになる口をグッと閉めた。と、アンディの携帯電話が鳴った。
「ああ─ そうか。すぐ行く」
 ちょっと残念そうにジョーを見たが、アンディはそのまま出て行った。
 ジョーはホォ・・と息をつき、気が抜けたように目を閉じたが、
「いけねっ、寝てる場合じゃねぇや。関のレオタード姿なんて見たくないぞ」
 ザーツもそこまではやらないと思うが・・・。とにかく後ろ手にされている両手のロープを解きに掛かった。

『こちら立花、中禅寺湖上空です。MOX エンジンシステムからの電波はまだキャッチできない』
「ラジャ。こっちはもうすぐ栃木に入る」ハリアの助手席の神宮寺が言った。「引き続き電波探知を頼む。それからスピードマスターのトレースも」
 ラジャ! と立花が答えた。
「ジョーが連絡を寄こさないという事は、やばいのかな」
 ステアリングを握る高浜だ。後部席には公安3課の木村と山本が乗っている。公安はMOX エンジンシステムの件には関与していないが、アド・・・アンディの確保と関を救出しなければならない。
「あの2人がつるむとロクな事がない。・・・あ、失礼」
 と、詫びる高浜に木村と山本は、“いいえ” “確かに” と苦笑いした。
「あの時、ジョーはあわてて通信を切った」リンクに目をやり神宮寺が言った。「スピードマスターを奪われている可能性もあるな」
 ウッズマンはセリカの中にあった。ジョーは武器を持っていない。スピードマスターだけが彼と神宮寺を繋ぐ物なのだが。
「関さんから連絡は?」   
「ありません。携帯電話に入れても繋がりません」山本が答えた。「部長に報告したら“昔とったナントカで血が騒いだんじゃないか” って」
 関は元々潜入専門の公安官だ。敵地に乗り込んではりきっているのかもしれない。それにしても呑気な部長だ。
「ジョーもはりきるタイプだからな。この2人が一緒に奴らのアジトに乗り込んでいるんだ。なんとかなる・・・かな・・・」
 と、神宮寺が首を傾げた。ハリアは群馬県を抜け栃木県に入った。

「ハァク・・・」くしゃみが出そうになってジョーはあわてて口を押さえた。「なんで急に・・・。くそォ、誰かがおれの悪口言ってやがるな」
 候補者は何人もいる。が、とりあえずそいつらの顔はどこかへ吹っ飛ばした。
 拘束されていた部屋から出てジョーは関を捜している。大きな建物だが人はほとんどいない。ここも一時的な隠れ家なのだろう。
 何本か打たれた自白剤のせいか体が重い。だが気力は萎えていなかった。
 と、かすかに開いているドアの隙間から1台の大型コンピュータが見えた。MOX エンジンシステムのデータが収まっているかもしれない。
 ジョーは慎重に操作していく。と、さっきアンディが見せてくれたマークXジオのデータがあった。
 MOX エンジンシステムを搭載し行き先をインプットすると後は衛星を使って目的地まで自動運転される。タイヤの回転が止まると車体を爆破する装置も見える。
「すげえな・・・」
 感心しつつジョーは設計図やシステム図などを頭に入れていった。
 ひと通り見終わるとジョーはシャツのエリからボタンを引き抜いた。その表面をカジカジと爪で突っつきコンピュータの表面に貼り付けた。
 科研から預かったこれは特殊な電磁波を出しコンピュータ内のデータを消去してしまう。まだ試作品だし容量の大きなコンピュータでは消去を終えるまで時間が掛かる。
 本当はデータを1つ1つ見てMOX エンジンシステムのデータを探し出したいが、キャンペーンに向かうというマークX や関が気になる。
 おそらく神宮寺達がこちらに向かっているはずだ。データの消去は彼らに任せてもいい。

 廊下に戻るとかすかに人の声が聞こえた。突き当りのドアを少し開けると広い車庫のような所だった。
 アンディがいた。スコットも。ケートが関をマークX の運転席に押し込んでいる。関は両手をステアリングに固定され、両足は縛られていた。いよいよキャンペーンに向かうのか。一刻の余裕もない。
 マークX のエンジンが掛かった。と、同時にジョーが室内に飛び込みドアのそばにいたスコットを押さえ、その手から拳銃を奪った。
「動くな! 関を降ろせ!」
「お前は─」
 アンディが銃口を向けた。が、ジョーの銃に弾き跳ばされた。
「関のキャンペーン・ガールなんて見たくねーぜ。早く降ろせ!」
 体を半分車内に入れ止まっているケートに言った。と、アンディが動いた。壁のスイッチを入れる。天井近くから銃が下りて来た。 とっさにジョーはスコットの体を回しその影に入った。 バババ・・・と銃声が響きスコットごとジョーも後ろに飛んだ。思ったとおり空気銃だった。発射されたのは圧縮空気だが、命中すれば気絶させる威力がある。さっきはこれで失敗したが、今はスコットが盾となり気を失わないで済んだ。が、その間にケートは車外に出た。
 マークX が動き出した。前方のシャッターが上がっていく。
「チッ!」
 ジョーがマークX を追って外へ出た。アンディとケートが追ってきてジョーに発砲する。
「あっ!」
 右足に激痛を受け転倒した。が、振り向きざま銃を撃った。ケートに当たりひっくり返った。が、目が眩み一瞬アンディの姿が見えなくなった。
「な、なんで─」
 手から銃が落ち、ジョーは地面に崩れた。
「自白剤の副作用だな。激しい動きをするからだ」
 ニヤと口元を歪めながらアンディが近づいてくる。ジョーは顔を上げ振り返ったが、マークX の姿はもう見えなかった。
「残念だったな。あの車は東京の中心部に向かっている。その途中でも爆発する可能性はあるけどな」
 銃口がゆっくりとジョーに向けられる。
「それからあのシステムには余計な物が付いているようだな。だが取り除いたからもう電波が発信される事はない」
「く・・・」
 ジョーの右手が震えながら落とした銃へと向かう。アンディが二重に見えた。
「お前を仲間にできれば新しい情報源になると思ったが残念だ」
 トリガーに指が掛かった。
 と、遥か上空からバラバラ・・・と音が降ってきた。ヘリコプターが一機こちらに向かっている。
 アンディが驚き見上げた。そのすぐ上でホバリング体勢に入る。凄まじいダウンウォッシュにより、立っているのも難しくその場に膝をついた。
「・・・神宮寺」
 そのヘリの正体をジョーは悟った。と、車が2台近づいてきた。

「ジョー!」
 ハリアから降りて来たのは神宮寺だった。続いて山本や木村、パジェロからは西崎達が飛び出しアンディとケートを押さえようとしたが、
「近寄るな!」立ち上がったアンディがジョーに銃口を向けた。男達がピタリと止まる。「まだ生きてるぜ。それ以上近づくとこいつを撃つぞ」
 地面に倒れたままジョーは動かない。だが彼がこの状況を把握している事は神宮寺にもわかった。
 アンディを刺激しないよう、神宮寺がヘリに合図を送る。ヘリは上空へ戻った。
「そんな事をしても逃げられない。我々の仲間は人質にはならない」
「そっちこそ今頃来ても遅い。MOX エンジンシステムは動き出した。今東京に向かっている」男達の顔が強張る。と、アンディがポケットから小さな機器を取り出した。「このスイッチを押せばMOX エンジンシステムが爆発するぜ」
 そんな物をいつの間に取り付けたのか。アンディは機器を掲げたままケートと後ろに下がっていく。
 と、突然ジョーが動いた。地面に落ちていた銃を掴み、機器を持つアンディの右手を撃った。
「ジョー!」
「きさま!」
 男達の声が重なる。
「そんなもん付けてねえだろっ!」
 ジョーは設計図を見ている。アンディの言った事は嘘だとわかった。が、地面に落ちた機器をケートが拾った。
「押せ!」
 アンディの声と共にケートの指がスイッチを押した。ドガンッ!! と彼らの背後の建物が爆発音を上げた。ガレキや煙が四方に飛ぶ。
「ジョー!」
 建物近くにいたジョーが煽りを食い地面に叩きつけられた。神宮寺が駆け寄る。西崎達は煙に紛れて逃げるアンディ達を追った。
「大丈夫か」
「ま、まずいぜ、神宮寺」
 支える手をすり抜けジョーが走り出そうとするが─ 体が思うように動かず、ドッと倒れた。
「無理するな。右足は掠っただけのようだが他にどこか─」
「自白剤を打たれた。くそォ、今頃効いてくるなんて」
「ハリアで休んでいろ」
 神宮寺はジョーを抱えるようにして立たせるが、
「大丈夫、それどころじゃないんだ。関がキャンペーン・ガールになる」
「・・・大丈夫じゃないな」
「奴の言った事は本当だ。MOX エンジンシステムを搭載した車に関が乗っているんだ」
「なんだって」
 神宮寺はハリアの後席にジョーを押し込み、自分は運転席に回った。PC ナビを入れるが、「MOX エンジンシステムからの電波をキャッチできないぞ」
「その仕掛けは取り外された」ジョーが助手席に移動してきた。小刻みに継ぐ呼吸は辛そうだがその瞳は気力に溢れていた。「マークX を追うしかない」
「おれ達は国道を登って来た。だがマークX には会わなかった」
 神宮寺がPC ナビを操作する。
「反対の道か─ 中根!」リンクでヘリのコ・パイに入っている中根を呼んだ。「MOX エンジンシステムの電波はキャッチ不可能になった。上空から捜してくれ」
 神宮寺がジョーから聞いた車種や色を中根に伝える。ラジャ! と中根が快諾した。
「大丈夫か、ジョー」
 見ると助手席のジョーはシートに寄り掛かり今にも意識を失いそうだ。
「大丈夫だが・・・少し休む・・・」眼を瞑りジョーが言った。「マークX が見つかったら知らせてくれ」
 そしてそのまま眠りに落ちた。
 神宮寺はジョーのシートベルトを確かめ、彼をそのままにしておいた。
 組織的犯罪が増え、S メンバーといえども2人だけで立ち向かうのが難しくなってきた。今回も西崎率いるチーム1がバックアップに入っている。
 だが肝心な時はいつもこいつと2人だ。これでうまくいく。難しい局面を必ず打開してみせる。
 だんだんと穏やかな呼吸になっていくジョーを横に、神宮寺はアクセルを踏み込んだ。





                              10につづく


Posted by  朝倉 淳   0 comments   0 trackback

『新しいNSX 』



     NSX(ダブルJ)

     http://www.honda.co.jp/NSX/

 ジョーの新しい車にこのNSX はどうかと前から狙っていたが、思ったより高額になった。

 熟練の職人たちの手作業を中心に、ひとつひとつ丁寧に作られていて1日にわずか8台しか生産できないそうだ。
 それは高額になるだろう。

 うーん・・どうしよう。買えるかな、ジョー? と、本気で悩んでいる淳。

 架空の物語でもなるべく今の世界に合わせたい。

 これなら頑張ればLFA でも・・・。 ← 無理

 ところで、ディアブロの借金返したのかい、ジョー?


Posted by  朝倉 淳   0 comments   0 trackback

闇に輝く光の下(もと)に 8


 虎ノ門にある公安専用の拘置所の入り口が見える所にジョーはセリカを停めた。と、彼が着いて10分も経たないうちに公安のクレスタが1台正面から入って行った。
 ここで関に食いついてみようかと思ったが、ヘタすると尋問の機会を失う事になるかもしれないので我慢した。 
 ジョーはダッシュボードからたばこを取り出しくわえた。が、火は点けずそのままじっと正面入り口に目を向ける。
 警備員が胡乱そうにこちらを見ている。1人が無線で報告をしている。おそらくセリカのナンバー照会をしているのだろう。
 もう少ししたら職質に掛けられるかもしれないが構う事はない。こちらはまだ・・何もしていない。善良なる都民だ。
(いや、脱走罪があるかな)
 ちょっといやな予感がした。自分を逮捕・・しに青い車(ポルシェ)で向かって来る奴を想像した。こいつからは逃げられない─。
 と、目の前をクレスタが通って行った。たばこをメインボードの上に放りジョーがセリカを出した。ドアミラーにあわてている警備員の姿が映ったがすぐに消えた。
 もしかしたら公安車両を追けている怪しい赤い車の報告がクレスタに入るかもしれない。思いっきり顔をしかめる関を想像しジョーは口元を緩めた。

 クレスタはゆっくりと桜田通りを北上して行く。警察庁とは3キロと離れていないのだ。前方に虎ノ門の交差点が見えてきた。
 と、突然横道から大型のワゴンが飛び出して来てクレスタの横っ腹に突っ込んだ。
「なっ─!」
 ジョーはブレーキを踏んだが、クレスタとの間に入っていた2、3台の車は反応が遅れクレスタのリアにぶつかった。セリカも後ろから突っ込まれ、ジョーはステアリングに胸をぶつけた。が、
「関!」
 ジョーが車から飛び出す。
 大型ワゴンから降りて来た5、6人の男がクレスタの後席から男を引っ張り出していた。が、手錠で繋がれているのか関も一緒について来た。
 男達は関に怒鳴っている。山本と木村が男達に銃を向けたが腕を撃たれ銃を落とした。 
 ジョーがウッズマンを抜く。が、追突した車から降りて来た人々が弾道を塞いだ。男と関がワゴンに押し込まれる。
「チッ!」
 ジョーはウッズマンを車内に放り、代わりに1丁の拳銃を手にした。コルト・ガバメントに似た大型拳銃だ。
 発進しようとするワゴンの側面にサイトを合わせ、弾道が空いた一瞬にトリガーを引いた。パンと小さな音だったので、サイレンが鳴り響く音に紛れ聞こえなかっただろう。
 ワゴンが横道をバックしていく。ジョーはセリカに戻り、何度もステアリングを切り返し固まっている車両の群れから抜け出した。
 クレスタが邪魔で横道には入れない。山本が無線を手にしているのを横目で見て、ジョーはPC ナビを入れた。モニタに光る点が移り移動している。
 さっきジョーが撃ったのはトレーサーを逃走する車両に撃ち込む特殊な銃だ。まだ試作品だが科研にテストを頼まれていた。
「よし、このままアジトにつれて行ってくれよ」
 あの男を取り戻したのは仲間だろう。都心のど真ん中でこんな危ない救出をしなければならないほど大物なのか。

 ワゴンは外堀通りを赤坂方面に向かっている。
 ジョーは神宮寺に連絡しようとし─だが、やめた。この事はすぐ国際警察にも知られるだろう。山本や木村はジョーのセリカがワゴン車を追って行ったのを見ている。神宮寺はスピードマスターのトレーサーを追ってくればいい。それに・・・。
 ジョーはできれば1人であの男に会いたかった。1人で訊き、確認したい。その思いが相棒を呼ぶ行為を止めていた。
 車は新宿区を抜け中野区に入った。 
 緊急手配がされているはずだがワゴン車はそれをうまく擦り抜けて行く。まるで検問を行っている場所を知っているようだ。
 西武新宿線の線路を越えた。このまま行けば江古田に出る。
「まさか、研究所じゃ・・・」
 が、新青梅街道に出る前で細い横道に入った。この辺りは緑も多く住宅も建て込んではいない。
 ジョーはステアリングをゆっくり回しワゴンに付いて横道に入った。
 彼は気がついていた。ワゴン車の連中はジョーの尾行を承知の上で誘い込もうとしている事を。
 もちろん願ったり叶ったりだ。

 やがてワゴンは大きな工場のような建物の敷地に入って行った。看板に書かれた社名を検索してみたら1年前に倒産した機器製造業だった。 
 ジョーは門の前でセリカを停めた。と、ワゴンから男達が出て来た。あの男は関と手錠で繋がれたままだ。その関の頭に銃が押し当てられていた。
 あの男─ アドが門の向こうのセリカに目を向ける。ジョーはPC ナビのセキュリティスイッチを入れ、ウッズマンをセキュリティボックスに入れ車外に出た。
 銃を持って出てもこの状況では相手に奪われる。必要なら奴らのをいただけばいい。
 ジョーはゆっくりと正門を通り男達の目の前で止まった。
「ジョー」
「いい度胸だ」関とアドの言葉が重なった。「やはりあいつの一族か」
「──!」
 ドキッと胸が鳴ったがアドから視線を外し、ボディチェックをする男達に向けた。
「ついて来い」関に向けられた銃口をジョーに向け男達は建物の中に入った。「まず手錠を外す。スコット、頼む。ケートはこいつ(ジョー)を見ていてくれ」
 と、関を引っ張り奥へ向かおうとした。
「なんだってそんな無防備な格好でついて来たんだっ」
 擦れ違いざまに歯を剥く関に、しかしジョーは黙ったまま彼を見送った。やがて奥からチェンソーの音が響き、アドがすっきりした顔で戻って来た。ジョーが奥に目を向けると、
「大丈夫だ。向こうでちょっとスコットとお話しているだけだ」
「ここは日本でのあんた達のアジトなのか?」
「違う。ここは一時的に使わせてもらっているだけだ。無断でだがな。しかしもう引き上げる。その前にお前に訊きたい事がある」
 アドの言葉にジョーが怪訝そうな目を向けた。と、ケートの携帯電話が鳴り彼はそれをアドに渡した。
「アンディです」背を向ける男(アド)にジョーはちょっと息をついた。「そうか、まずいな。─ わかった。え? テスト走行? 完成したのか」
 アンディはしばらく相手の話を聞いていたが、
「そうだ、打ってつけの奴がいるぜ。なにせ体験者だ」 
 チラリとジョーを見た。そして携帯電話を切り、その手をいきなりジョーの首筋に叩き落とした。
 ドッと床に倒れた。

「神宮寺、これを」立花が切断された手錠を差し出した。「やはり関さんはここに連れて来られたんだ。だけど今は誰もいない」
 立花は建物内をグルリと見回し神宮寺に戻した。
 関やアドの乗った車が襲撃を受けた事を神宮寺が知ったのは、彼が警察庁に到着して10分も経たない時だった。彼はいつものようにJB から新宿通り経由で来たので事件には遭遇しなかった。
 3課に関や木村、そしてジョーもいなかった。が、ジョーは必ずここに来ると確信していた。そこへ山本から第一報が入ったのだ。
 初動捜査は3課の達村班が出た。
 もちろん神宮寺は加わらなかったのだが、その後に入った情報でジョーがセリカで逃走車を追って行った事がわかった。神宮寺はリンクでジョーを呼んだが応答がない。トレーサーもオフになっていた。
“あのバカ、1人で─ ”
 と悪舌をつき、すぐにJBに戻った。チーム1と共に出動準備をしている時にセリカからのセキュリティサインが入ったのだ。
「遺留品もないし─。仕方がない、一度引き上げよう。そのうちジョーから連絡が入るだろう」 
 そう言う神宮寺だが、果たして彼が居場所を知らせてくるかどうかわからなかった。
 ジョーはきっと1人であの男と話がしたいのだろう。だから今はズピードマスターをオフにしているのだ。だが─。
 神宮寺は床に目を落とした。ポツポツとまだ新しい血の跡があった。

「これは・・・」目の前に置かれた車にジョーが目を見張った。「スカイライン250GT・・・」
「どうせならも同じ物がいいだろうと思って」
「ま、まさかこの車はMOX エンジンシステムの─」
 思わず振り返り─グキッと首の後ろが傷んだ。ジョーは唸って手を当てる。だが目だけはアンディから離さなかった。
 昏倒し気がつくと今までいた工場跡ではなかった。周りはとても静かだ。どんよりとした空気が感じられる。が、ジョーは関と顔を合わす事なくすぐに外へ連れ出された。
 思ったとおり街中ではなかった。周りを樹木が囲み、目の前に広い空き地があった。そこへ出されたのがスカイラインだった。
「お前達が追っていた試作品だよ。このテスト走行をお前に頼みたい」
「な、なんだと」ジョーの目がきつくなる。「あんたらの片棒を担ぐなんてご免だぜ」
「お前はそれでいいが、あのセキという公安官はどうなる? 痛い目をみるのは彼だ」
「・・・・・」
 常套句でおもしろくもない。関なら自分でなんとかするだろう。が、結局ジョーはアンディから渡されたキーを受け取った。試作品がどんな物か確かめてみたかった。
「研究所がテスト走行をした時のようなコースじゃないけどな」
 舗装もされていない剥き出しの地面だ。だがスピードレースをやるわけではない。周囲50メートル程のこの広場を回るだけだ。
 スコットがジョーをシートに押し込んだ。シートベルトを締めキーを差し込む。エンジンを掛けた。グォン!という音が響いた。
 吹き上がりは前の車より遥かによかった。だがかすかな・・・普通のドライバーならわからないようなかすかな振動はジョーにとっては大きな違和感だった。
 とっさにこの車はやばい、と思ったのだが─。
 スコットが車体をボンッ! と叩いた。エンジンを吹かしスカイラインが飛び出した。ドアミラーにコケるスコットが映った。
「うおっ!?」
 だがジョーはそのシーンを楽しむ事はできなかった。
 唸るエンジンの馬力が強すぎる。いや、不安定だ。まるで制御の効かない暴れ馬に乗っているようだ。
「こ、こいつやっぱりやばい─」
 タイヤが4つ付いた物ならなんでも乗りこなすと豪語していたジョーだが、素直にこの車は危ないと思った。
 システムの力に車体の強度が付いていない。各パーツが軋みバラバラになりそうだ。
 それがMOX エンジンシステムが強すぎるのか製造ミスなのかはわからない。わかるのは、この車をぶつけて大破させてはいけない事だ。
「うわっ!」
 2周したところで車体のあちこちからパキッ、ボキンとパーツが折れる音が響いた。ステアリングが緩くなった。一団となっている男達の方へ滑るように向かって行く。
 ジョーはステアリングを思い切り繰った。カララ・・・と音がしたが、わずかのところで男達を避けた。
 ジョーはブレーキを掛けたが効かなかった。このままだと周りの樹木に衝突する。MOX エンジンシステムが爆発したら大変な事になる。
「仕方ねえな」
 ジョーは1本の大きな木にスカイラインを向けた。効かないブレーキもサイドブレーキも全部引いた。わずかにスピードが落ちた。大木が目の前に迫る。
「あいつ!車をぶつけてMOX エンジンシステムをぶっ壊すつもりか!」
 ケートが叫んだ。
「いや、システムは後方にある。前が潰れてもなんとかなる」
 アンディが言った。
 車の制御が効かないのは見ていてわかった。それにしてもMOX を積んだ車をぶつけて止めようとするとは。
「止まれ!」
 サイドブレーキを握るジョーの手に力が入る。爆発したような激突音が響いた。

『捕まえたぜ、神宮寺! MOX エンジンシステムの電波サインだ!』
「やったか。どこだ、高浜」
 神宮寺は車内モニタに映る高浜に言った。
『今、解析中だ。弱くて短時間だった。まだ不安定なのかもしれない』
「わかった。急いでくれ」
 ラジャ! と高浜がモニタから消えた。
 電波がキャッチされたという事は奴らのMOX エンジンシステムが完成し稼動したという事だ。それを何に使ったのだろう。
 神宮寺はリンクのトレーサーを入れた。ジョーのスピードマスターからの応答はなかった。

「気がついたか、ジョー」
 聞き覚えのある声に、ぼんやりしていた焦点がだんだんと合ってきた。
「・・・関」自分を覗き込んでいる男の顔がはっきりしていく。「生きてたのか」
「ひどい言葉だな。膝枕で介抱してやったのに」
 ガバッ! とジョーが飛び起きた。が、すぐに体を屈める。全身がズキズキと唸っていた。
「無茶したもんだ。あれをぶつけて止めるなんて」
「おれ達が無事なところを見ると・・・成功したようだな」壁に寄り掛かり息をついた。「あのシステムが動けば位置を知らせる電波が出る。JB が拾ってくれる」
 ふと周りを見回した。薄暗い小さな部屋だ。ソファが一台置いてある。
「何もない部屋から昇格したな」
「何を言ってるんだ。なんとかここから脱出してMOX エンジンシステムを破壊しないと」
 それはダブルJの仕事だ。
 MOX エンジンシステムの破壊というが、実際にはMOX ボックスを取り出してからの破壊となる。強固な容器に収められていてミカンくらいの大きさだと聞いている。その量でも万一容器から漏れたら大惨事になりかねない。
 だが焦る関とは反対にジョーは動こうとしなかった。
 まだここから出たくない。あの男─ アンディと話をするまでは。
「おい、ジョー」
「それにしても、あんたとはよく一緒に閉じ込められるな。普段の行いが悪いんじゃないのか?」
「おれがか!? って、どうしたんだ、ジョー? いつもの君らしくないな」
「・・・・・」
 ジョーはコツンと頭を壁につけ目を閉じた。
 奴らの試作品は以前研究所が作製した物とは明らかに違っていた。どこか改造したのだろうか。素人目に見ても危険な事だ。
 と、ジョーが目を開けた。その目をドアに向ける。カチッと鍵が開けられた。
「気がついたか」入って来たのはアンディとケートだった。「丈夫だねぇ」
「車は・・・MOX エンジンシステムはどうなった?」
「車はフロントは潰れたがリアは無事だ。だがシステムは改良の必要がある」アンディの顔が科学者のソレになる。本職はそっちなのかもしれない。「今度はセキに用がある。一緒に来てもらおう」
 アンディの合図にケートが関に銃口を向ける。こんな物、蹴っ飛ばすのはわけないが。
「おとなしくしていないとそっちのぼうやが危険になるよ」
「やめた方がいい」関が言った。「そう言って成功した奴はいない。試しにちょっと突っついてみろ。反対にやられるだけだぜ。この男のまー、強い事、強い事!」
「うるさい! さっさと来い!」
 ケートが関の腕を掴んで廊下に引っ張り出した。その後についてアンディが出ようとし、ふとジョーを振り返った。何か言いたそうにしていたがケートに呼ばれ行ってしまった。
 ジョーがホッと息をつく。関の前であの話をしたくはなかった。
「神宮寺、応答しろ」
 ジョーはスピードマスターの通信をオンにした。小さなノイズが入るが、
『ジョーか、今どこにいる。関さんも一緒か?』
「わからねえ、山の中みたいだ。今のところ関も生きてるぜ。それより電波をキャッチできたか?」
『今、発信場所を解析している。まもなくわかるだろう。お前が動かしたのか?』
「MOX エンジンシステムのテスト走行をさせられた。あの男─ アンディという名だが、おれが研究所のテスト車のドライバーだと知っていて─」
 ふと言葉を切った。急いでいるような足音が聞こえる。
「まあ連絡する」
 通信をオフにしたとたんバン! とドアが開いた。険しい顔をしたスコットが立っていた。見上げるジョーを睨みつけ、腕を取って立たせると彼の体をパンパンと叩き始めた。が、ジョーはサイフひとつ持っていない。と、スコットはジョーの左腕を取りスピードマスターに手を掛けた。
「何をする!」
 ジョーはとっさにスコットの腹に蹴りを入れた。床に尻もちをついたスコットが銃を撃った。廊下に飛び出し避ける。と、銃声を聞きつけたのか男達がこちらに走ってきた。
 ジョーは身を翻し反対側に走る。こうなったら関を助け出しMOXエンジンステム破壊しようと思い─ ふと〝研究室〝 と書かれたプレートが目に入った。
 ドアを開けるとそこには八割程組み上がっている1台の車が置いてあった。マークX ジオに似たその車体の後部には─、
「MOX ボックス?」
 MOX を収めた容器がセットされていた。壊れたスカイラインから取り出しジオに移し変えたのか。
 ジョーが車体に近寄る。と、バババ・・・と銃声が響きジョーの体が吹っ飛んだ。



                         9へつづく






Posted by  朝倉 淳   0 comments   0 trackback

『バリバリのムスタング』


 高速でバリバリのムスタングを発見!
 改造してあるが新しいめの車種なのかあまり見た事がない。が、格好良い。(淳は昔のムスタングが好きだが)

 リアウイングが利いている。
 さぞかし速いだろうとワクワクして見ていたが、すこぶる安全運転で普通のセダンの淳車に追い抜かれる。
 うー、おとなしい運転のムスタングなんてヤダー。
 すっ飛ばしているところを見たかったなあ。


 そういえば相方はこの車を、「マスタング」と呼ぶ。でも昔は「ムスタング」と言っていたと思うが。
 自分はそう呼んでいた。
 いつからマスタングって言うようになったんだ? 
 確かに英語読みだと「マスタング」だな。

 そういえばBMW も、今は「ベンベー」って言わないんだって?
 なんで? ドイツの車なんだからドイツ語発音でいいんじゃない? 
 あ、そうすると、「ベーエムベー」か。なまった?

 別の日の高速ではかっこいいバギーが3台連なって走っていた。
 淳車より先に行ってしまったが、かなり後になって急に横を走って来てびっくり。

「(先に行ったので)どこかで1時間ぐらい休憩してくれないと追いつかないね」

 と、話していたのだが・・本当に長休憩とったのか?
 乗っているのはごつい(こらっ)男性だったが、青いバギーが綺麗でかっこよくJB の誰かをバギー乗りにしてやろうかと思った。

 ・・・だれだ?


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