コールナンバー ダブルJ

国際秘密警察スペシャル(S)メンバーと呼ばれる男達のお話です
Posted by  朝倉 淳

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Posted by  朝倉 淳   3 comments   0 trackback

Valentine Bomb

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JBの正面ゲートが開いた。
 ポルシェを乗り入れようとし─が、ゲート横に置いてある箱が神宮寺の目に入った。
 ゲートには人がいないので神宮寺は車から降りてその箱に近寄った。身幅くらいの寄木細工のような木の箱だ。宅配業者がハンコを貰うのが面倒、と玄関先に置き去りにしたような体だ。
 明らかに不審物だが、それ故このままここに放置しておくわけにもいかない。
 神宮寺はリンクで火薬反応を確かめ車の助手席に乗せた。

「なんだい、洸。その箱は?」
「洸様へのパレンタインプレゼントさ。とうとう箱で来たよ?」
 覗き込む西崎や立花を前に洸が自慢げに鼻を鳴らした。
 神宮寺は6階の鑑識課に持って行こうとしたが、エレベータで一緒になった洸が箱の上部に?Aさまへ?と書かれているのを見つけ自分へのプレゼントだと神宮寺の手から取り上げたのだ。降りた階が3階だったのでそのまま食堂の皆が集まっている所へと持ち込んだ。
「きっと僕を見かけた可愛い娘ちゃんがそっと置いてくれたのさ」
「チョコを貰えない洸のためにって、?伊達直人?からじゃないの?」
「ふふ?ん、貰えない男のひがみかい、西崎」
「なんで洸宛てだってわかるんだよ」
「だって?Aさまへ?って書いてあるじゃん」
「名字なら?アサクラ?かもしれないぜ」
「ジョーにこんな気の利いた事をする娘はいないさ。いや、男ならいるかも・・」
 ニヒヒ・・・と笑う洸の後ろから
「くそぉ、あのヤロウ!今度本気でシメてやる!」
 低く響く声と共に小さな箱が飛んできた。チョコレートだ。ピンクのリボンがかかり、やはりピンクの カードが添えられている。そこには、?バレンタインだぜ、ジョー ?と書かれた男っぽい字が。 
 差出人は明らかだ。
「奴となんかもうタッグ組まねえからな。今度こんなマネしやがったらウッズマンのサビにしてやる!」
 時期外れの赤おにジョーに、みんなそそくさとそのそばから離れた。

「洸」神宮寺だ。「一応鑑識課に持って行った方がいいぜ」
「大丈夫だよ。火薬反応はないんだろ?チョコやプレゼントに火薬は詰めないさ。いや、可愛い娘  ちゃんの情熱が詰まっているかも」
 ムフフ・・・と頬を緩ます洸にみんな呆れたが、それ以上に箱の中身が気になる。男達の期待を受けた洸が開け口を探した。が、
「あれ?どこから開けるんだ、これ?」
 木箱は全面滑らかで開け口の窪みも指を引っ掛ける所もない。
「これって仕掛けのある寄木細工じゃないのか。箱根で売っているような」
 寄木細工自体は工芸品やお土産品などで珍しくないが、中には箱のある面や特定の面の仕掛け部分を引いたり押したりすると開くという仕掛け箱もある。その行程も3、4回から複雑な物になると 100以上の行程を繰り返さなければならない。
 実際にはもう少し小さな物が主流だが、このくらい大きな物ならかなりの行程になるはずだ。
「ふん、ぼくの愛を試そうというのかな」洸の鼻息が荒くなる。「プログラマを甘く見ちゃいけないね」
 が、さすがの洸も100もの行程を踏まなければならないとしたらそう簡単には開けられない。
「爆薬でふっ飛ばしちまえよ」いつの間にかそばに寄ってきたジョーが言った。「簡単に開くぜ」
「・・・開くっていうか・・・壊れる、だな」
「可愛い娘ちゃんの愛までふっ飛ばせって言うの!?」
「情熱的なんだろ。いーじゃん」
 わけわからないジョーの言葉に、しかし西崎や立花はなぜか頷いた。と
「・・・いやな予感がする」
 よくわかる神宮寺の言葉に、今度はみんなが“げっ!”と飛び上がった。
「情熱的ないやな予感って・・どーいうんだ?」
「やめてくれよ、神宮寺。君がそれを言うとロクな事がない。開けない方がいいかもしれないぜ、洸」
「やだ!ぼくは可愛い娘ちゃんの期待に添うんだ!」
 欲望に燃える男は強い。いや、しつこい。洸の頭と手がものすごいスピードで動く。が、あっちを押すとこっちが閉まり、こっちを引くとあっちが開く・・の繰り返しでなかなかうまく行かない。
「あー、もう、じれったいぜ!」
 バンッ!とジョーが箱をぶっ叩いた。と
「あ」
「おっ」
 叩かれた箱がブルッと震え・・・パカンと上部の細工のひとつがわずかに開いた。
「ほーら、やっぱりぶっ叩くのが一番さ」
「・・・昔の家電じゃあるまいし」
 立花が言うが、それでも開いた事実は変わらない。
「で、中身は・・・・ん?」
 木が少しづつ盛り上がるように開いて行く。と、同時になにやら風船のような物がせり上がって  きて─。

 バアァァンッ!!

「うわあっ!」
 箱の周りにいた男達はもちろん、食事を摂っていた他のメンバーも声を上げた。
 辺りに花吹雪が散った。

「今日はなんだかJBが静かなような気がするね」
 鑑識課課長の大舘から書類を受け取り、森チーフが言った。
「この頃は事件もなく、みんな鈍ってますからね。私がひとつ仕掛け箱をプレゼントしたんです。それに夢中なのでしょう」
「仕掛け箱?この書類にある?行程120の寄木細工仕掛け箱?の事かい?」
「ええ。以前洸君が50行程の仕掛け箱を開けたと自慢していたので、では倍の行程を経る物をと思い作りました」
「洸なら開けてしまうかもしれないよ」
「彼のようなプログラマの特徴を綿密に考慮し、我が鑑識課物理研究室の威信に賭けて製作した逸品です。そう簡単にはいきませんよ。万一、開けられたらお祝いの花吹雪を仕込んでおきましたが、まっ、無理でしょうね」
 ハハハ・・・と自慢げに笑う大舘。その考えがチョコレートのように甘い、と思い知るのにそう時間は掛からなかった。
 彼の考え方は間違っていないが、その他の理解できないケースがJBにはいる事も考慮すべきだったのだ。


                                                おわり
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Comment

淳 says... "覚書き"
バレンタインが近いので、テレビで「バレンタイン・キッス」の曲をよく聞くようになった。
キッスじゃなくて爆弾だったらどうだろうな、と思いこの話になった。
バレンタインなのにすぐこーいう話に結びつけてしまう書き手を持った彼ら。すまん、諦めておくれ。←迷惑です 

この話を書き上げたのは昨日(13日)だが、その夜のクイズ番組で箱根の寄木細工の特集があった。

あの職人技の製作工程を、鑑識課の誰が収得しているのだろう??
また大舘は、この仕掛け箱から何を研究して何を作ろうと思ったのだろう??

2011.02.14 11:47 | URL | #vDtZmC8A [edit]
響子 says... "やっぱり洸宛てだったのか"
今日はANNEXに「新作」か?・・と思ったら、こちらでしたか。
それにしてもジョーは残念だったわね、関さんからのチョコぢゃなくてさ(笑)

昔のルパン三世でコンピューターにルパンが勝った時、「人間の気まぐれ」を読めなかったせいさ~というのがあったけど、これも常人では読めない行動をするヤツがJBにいたということですねv-221
2011.02.15 00:14 | URL | #/5lgbLzc [edit]
淳 says... "響子さん"
いらっしゃいませ、響子さん。

ANNEXまで手が回らなかったの。
こっちも急に思いついたので、ほとんど一気書きでした。

>関さんからのチョコぢゃなくてさ
大きな箱じゃなかったけど、メッセージ付きの小さな箱で貰ってます↑
実はこれをアップしてから、ふと「どこで渡されたか知らないけど、持って帰ってきたんだ、ジョー・・」と思いました。
そして、「今度こんなマネしやがったら─↑」の台詞に、「今度?今回は許すんだ、ジョー・・・」と。

う~ん・・・やっぱりわからン奴のようです。
2011.02.15 12:05 | URL | #vDtZmC8A [edit]

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