コールナンバー ダブルJ

国際秘密警察スペシャル(S)メンバーと呼ばれる男達のお話です
Posted by  朝倉 淳

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Posted by  朝倉 淳   1 comments   0 trackback

東京てんやわんや大追跡 1


「でもなァ、ジョー・・・。おれやっぱり気が進まないよ・・・」
「なに言ってンだ、神宮寺。用意はすべて整っている。今さら中止なんてできないんだぜ」
「ん・・・。しかしなァ・・・」
「大丈夫。おれの計画はすべて完璧さ。打ち合わせとおりやれば心配ないよ」
「だけど・・」神宮寺は電話のコードを引っ張りながらまだ何やらブツブツ言っている。「もしばれちゃった
らどうするんだい。怒るぜ、きっと」
「うるさいなァ。平気だってばァ。彼は陽気なヤンキーだぜ。怒るどころか喜ぶよ、きっと」
「うん・・・」
「とにかく今さらやめられない。すでにレールは轢かれているんだ。だから君も今すぐ羽田に向かってく
れ。そろそろルカが着く頃だぜ」
「ああ」神宮寺は諦めたように息をついた。「わかったよ・・・。だけど知らないぜ」
「あ、羽田へ行く前に浅草に回ってマコを拾てってくれよ。その方がおもしろい」
「はいはい、わかりましたよ。おれはもう知らん
 そう言うと神宮寺はガチャンと音を立てて受話器を置いた。
「フッ・・・大丈夫だって、ミスター」
 ジョーは意味ありげに微笑むと受話器を置いた。

 渋谷から車で20分も走れば同じ麻布でも賑やかな麻布台とは反対に静かな元麻布に出る。高台で
緑が多くとても良い環境だ。
 この元麻布に最近12階建のマンションが完成した。このマンションの10階にジョーの部屋がある。
 彼は今まで代々木に住んでいたが、ある時ふと通ったここ元麻布が気に入ってしまいマンションが完
成すると同時にここへ引っ越してきたのだ。
 部屋は3LDKで彼1人で住むにはちょっと広いようだ。
 だがゆったりしたこの室内も今や騒然としている。
 1番ひどいのは中央のダイニングルームだ。まだロクに片付けていなかったのか、それとも彼の置き
方が悪いのか揃いのソファもテーブルもあさっての方を向いている。その中でジョーは腕を組み立ち竦んでいる。そして自分の周りを見ていため息をついた。
「ま、いいさ。ルカの歓迎パーティまでには間に合うだろうて─」
 そう呟くとジョーは手に持っていた花瓶をテーブルに置き、ソファにドスンと体を沈めた。
「それにしてもジュン達遅いなァ。彼女達が来ればなんとかなるだろうに・・・。いや、余計に散らかる
な?」ジョーが微笑んだ時だ。玄関のベルが鳴った。「噂をすればナンとやら・・・ハーイ」
 ジョーはソファから飛び出すとドアを開けた。と、突然彼の顔面に何やら堅い物がぶち当たった。
「あてェ!」2つの声が入り乱れた。「キャアッ!」
 ひとつはもちろんジョーの声。もうひとつはジュンの声だ。
「いたァ・・・ひどいわ、ジョーったら・・・」
「それはこっちの言う台詞だよ。あ~いて☆」
 ジョーがぶち当たったのはジュンの持っていた紙袋だったのだ。その中にはたくさんの食料が入って
いて抱えなければ持てないほどだ。
「あれもこれもって買っているうちに、こんなになっちゃったのよ。大丈夫、コト」
「ええ、なんとかね」
 ジョーはまずジュンの紙袋を取り次にコトの紙袋を抱え運んでくれた。
「キャア!」ダイニングルームに入ったジュンとコトは思わず声を上げた。「なにこれ!」
「ん?」ジョーは紙袋を部屋の隅のキッチンに置くと中を覗いた。「へ~、うまそうなの買ってきてくれたな
ァ」
「それどころじゃないでしょ!なによ、この散らかしようは!」
「散らかしたんじゃないよ」ジョーはジュンに向かって口を尖らせた。「片付けていたのさ。そしたらいつ
の間にかこーなっちゃったンだよ」
「まったくもう・・・しょうがないわねェ」そう言うとジュンは手近にある物から片付け始めた。「コト、悪いけ
ど手伝って─。こんなことならミスターの部屋にすればよかったわ。彼の部屋ならきっときれいに片付いているでしょうよ。それを羽田空港に1番近いために不運にもジョーの部屋を使う事になっちゃって・・・」
 ブツブツ言いながらも手際よく片付けているジュンにコトは苦笑して言った。
「そうには見えないわ、ジュン。ジョーの部屋だからそんなにはりきって片付けているんでしょ?まるで奥
さんみたいよ」
「コト!」
「さっきだってもし紙袋がなければだったのに─。残念ね~」
「コトォ!」
 そう叫ぶとジュンはコトを追い掛け始めた。もちろんコトは室内を逃げ回る。
「あ~あ、やっぱり余計散らかっちまったぜ」ジョーは紙袋から食料を取り出しながらため息をついた。「あ
れ?─お~い、ジュン。なんだってベビーパウダーが入っているンだァ!?」
「ええ?」ジュンはコトを追い掛けるのをやめてジョーの手からそれを受け取った。「やだァ!ベーキング
パウダーと間違えちゃったわァ!」
「まー、いやだ!もう少しで勘違いしちゃうとこだったわ!」
「どーいうイミよ」
「それにシャンパンを忘れてるぜ。おれの頼んだスコッチは?」
「だってェ・・・これ以上持てなかったのよォ─」ジュンは半分ジョーを睨む形となった。「そうよ、ジョー、
あなた買ってきて。ベーキングパウダーとシャンパンでもスコッチでも」
「冗談じゃないよ!」
「いいじゃないの。車買い換えたンでしょ」
「カウンタックでスーパーへ行けって言うのか!?」
「行けない事はないわ。さあ、ほら、行って」
「あ、ん・・・」ジョーはジュンに押され玄関まで来た。「おれ1人じゃやだよ。誰か一緒に来てくれるんなら
いいけど・・・」
「うん?ん~」ジュンはしばらく考えてコトに笑いかけた。「1人じゃいやなンですって。困ったわねェ。ベ
ーキングパウダーがなければケーキできないもんね─。仕方がない、私も行くわ。コト、悪いけどあとお願いね。すぐ帰ってくるから」
 そう言うとジュンはジョーの手を引っ張って行ってしまった。
「ま~あ!」1人残されたコトは腰に手を当て思わず声を上げた。「なんだかんだ言って、結局行っちゃ
ったわ。ハ、あほらし」
 コトは窓から赤いカウンタックが走り去るのを見ながら神宮寺を思い出していた。彼は今頃ルカを迎
えにマコと羽田空港に向かっていることだろう。そう思うとコトはマコがちょっぴり羨ましくなった。
「欲張りねェ」コトは自分で自分に言った。「でも・・それが女ってものかもね、ウフフ」
 なんだかわからない(・・事もないが)事を口走り、コトは室内を片付け始めた。

 一方こちらは羽田空港の神宮寺とマコだ。2人はさっきからルカを捜しているが彼の姿はどこにも見
えない。もう30分以上も捜し回っている。
「ねえ、ミスター。ルカはほんとにさっきの飛行機だったの?」
「うん・・・。彼からの手紙にはそう書いてあったよ。持ってくればよかったな」
「ルカったらなんで私の所に手紙をくれなかったのかしら」
 マコは不満そうに壁を蹴飛ばした。
「仕方がないよ。この手紙が着た頃、君もジョーもマンションを替えただろ。となるといやでもぼくの所に
出さざるを得ないだろ」
「そりゃそうだけど・・・」
「いや、そんな事よりルカを・・・あ、そうだ!」ふいの神宮寺の大声にマコは彼を見上げた。「もし彼が先
に着いていてぼく達に会えないとしたら、ま、十中八九空港のフロントへ行くだろう」
「・・そうね」
「よし、フロントに行って聞いて来るよ」
「私も行くわ」
「いや、いいよ」神宮寺はマコの肩を掴み止めた。「君はもう1度彼を捜してみてくれないか。もしかした
らまだその辺にウロチョロしているかもしれん」
「わかったわ。頼むわね、ミスター」
 そう言うとマコはフロントとは反対の方に走って行った。神宮寺はそんな彼女の後姿を心配そうに見
つめている。
 いったい何が心配なのかなァ・・・?

「ジュン、これ生クリームだろ?」
「そうよ、ケーキに使うの。─クリームよりチョコレートの方がいい?」
「いやァ・・・」車の中で待っているというジョーをジュンが無理矢理引っ張り出し、今は彼女の横でカート
を押している。「どっちでもいいけどさ・・・生クリームって持ちが悪いんだろ?」
「ホイップしちゃえばね。いいじゃないの、どうせ今夜には食べちゃうんですもの」
「・・たぶんムリだよ・・・」
「えっ?」ジョーの呟きにジュンは振り向いた。「なんか言った?」
「いや─、なんでもないよ。ところであとはなに?」
「うん、もういいわよ。これ以上仕入れたってとても片付けられないわ」
「あ、おれスコッチ買ってくるよ。今夜は皆で飲もうぜ。付き合えよ」
「私まだ未成年よ」
「何を今さらァ─」
「とにかくスコッチはいや。ワインにして。赤くて綺麗なのをね」
「冗談女の子じゃあるまいし、よ」
「私は女よ」
「うっそだろ!」
「ジョー!」
 ジュンはすごい勢いで彼を呼びつけた。ジョーはそんなジュンをうまく躱すとワインコーナーの方へと
走って行った。
 それを見るとジュンはクスッと笑い、そこから少し離れた所に置いてあるスコッチのボトルをカートに入
れるのだった。

「どうだった、ミスター」
「・・・いや」神宮寺は静かに首を振った。「それがおかしいんだ。フロントで聞いたら30分くらい前にアナ
ウンスでルカを呼び出した奴がいるんだ。たぶん彼はそいつらと一緒に行ったと思うけど・・・」
「それにしてもおかしいわ。ルカがそんな見ず知らずの人に付いて行くはずがないわ。子どもじゃあるま
いし・・・」
「え、ん・・・まあ・・そりゃ・・・」神宮寺は少しあわてているようだ。「そ、そんな事はあとで考えるとして・・・
とにかくルカを追い掛けよう」
「どこへ向かったのかわかるの?」
「コースは決まってるんだ」
「えっ?」
「あ」神宮寺はあわてて口を押さえた。「いや、なんでもないよ。それよりほら早く乗って、乗って─」
 神宮寺は訝しげに首を傾げるマコを無理矢理ポルシェに押し込んだ。そしてマコに見えない方を向く
と深く息をつき冷や汗を拭った。


 

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Comment

淳 says... "覚書き"
久々の昭和編にございます。
と言ってもKMJが出てくるので、いつものダブルJとはちょっと違うかもしれないけど。

よく読むと設定の一部が今(平成編)と少し違うところもあるが、ま、そこはそこでお手柔らかに←?

この頃の神宮寺やジョーの方が柔らかい感じがする。
彼らより若かった淳が書いたからかなぁ。
2011.06.16 15:13 | URL | #vDtZmC8A [edit]

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