コールナンバー ダブルJ

国際秘密警察スペシャル(S)メンバーと呼ばれる男達のお話です
Posted by  朝倉 淳

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東京てんやわんや大追跡 4


ツーツーツー
「通信よ、ルカ」
「OK!」ルカは急いでマイクを取った。「はい、こちらスワット!─じゃない・・ええっと・・」
「JA、397よ」
「だそうです。どーぞ」
『ジュン、おれだよ、中西だ』相手はJB通信課の課長だ。『ミスター神宮寺の行方が分かった。別働隊の白鳥が知らせてくれたんだ』
「どこ?どこなの?」
『彼の話では神宮寺のポルシェは目白通りから関越自動車道に入り大泉学園町の方へ向かって行ったそうだ。白鳥は追ったが撒かれてしまったそうだ』
「大泉学園?練馬のね」
『そうだ。ジョーにはすでに連絡した。君にもすぐに向かってほしいと』
「ラジャー。ありがとう、中西さん」ジュンの手からマイクを取りルカが戻してくれた。「大泉学園なら ここからそう遠くないわ。念のために私達も三原台から関越に入りましょ」
 そう言われても東京は初めてのルカにわかるわけがない。だが彼は強く頷いたのだ。
 やがて三原台のインターから関越に乗った彼らはひた走った。
「でも、おかしいわ」
「え?」突然のジュンの言葉に床は反射的に訊き返した。「なにがだい?」
「この自動車道はこのまま埼玉の方までインターなしよ。白鳥さんは、〝撒かれた〝と言ってたけど、いったいどこで・・・」
「あ、そうか。ミスターの車には空も飛べる装置が付いてンのかね」ルカが軽く冗談を言った時である。急に車が停車したのだ。「ど、どうした、ジュン」
 ベルトを締めていなかったルカはまともに顔を前にぶつけてしまった。
「あれよ」ジュンが前方を指差す。「あれは確かにポルシェ928─ミスターの車よ」
「どうしてわかるんだい」ルカは鼻を擦りながら訊いた。「他の人のかもしれないぜ」
「ポルシェ928はまだ日本では売り出されていないのよ。ミスターがJBを通してドイツで勝ったものだわ。それにナンバーが─」
「よし、ジュン。降りてみよう」
 2人は車を降りると用心深くポルシェに近づいてみた。もちろん中には誰もいない。まるで捨てられているようにポルシェだけがポツンと置いてあるのだ。
「あの2人はここで車を降りてどうしたのかしら」
「それにしてもよく盗まれなかったなァ。今をときめくスーパーカーが」
「そうね・・・」
 ジュンはなんの気なしに返事をした。その時だ。どこからか彼ら2人目がけて激しい銃弾の雨が降り注がれたのだ。
「キャアッ!」
「伏せろ、ジュン!」
 さすがにルカは素早かった。彼はジュンの肩を手で押さえ押し倒した。
「い、いったいどういう事なの?」
「撃っている奴らに訊いてみるんだな」ルカはジュンを引っ張りポルシェの陰に隠れた。「あの上の茂みから撃ってきているな。ジュン、銃はあるか?」
「車に行けば一丁だけあるわ。コルト・コマンドよ」
「よし。ジュン、君はここでじっとしているんだ」
「やめて、ルカ!」ジュンは飛び出したルカのあとを追おうとした。だがその時、またもや銃弾の雨が降り彼女は再び地面にひれ伏した。「ル、ルカ─」
その時ルカはうまく銃弾を躱しフェア・レディの中に飛び込んでいた。
「コルト・コマンドか・・・。ちょっと可愛いが、ま、ないよりましだろう」
 そう呟くとルカは再び車外に飛び出しジュンの所に転がり込んだ。
「ルカ、大丈夫?」
「慣れてるよ。それよりジュン、おれのそばから離れるなよ」
「ええ」
 さっきまで冗談を言ってコケていたルカが急に頼もしく見えて来た。ジュンの目の前に一瞬、ジョーの顔が浮かんだ。
 しかし今はジョーより、そばにいるルカの熱い体臭の方が気になる。ルカはジュンの愛銃コルト・コマンドを茂みの方へ向けた。
「だ、だめよ。ルカ!」
 ジュンはとっさにルカの腕を掴み銃の狙いを狂わせた。
「な、なにするんだ、ジュン!」
「日本は銃を自由に撃つ事は禁じられているわ!アメリカはどうだか知らないけど日本ではだめなのよ!」
「そ~んな事言ったってェ!それじゃあ、あいつらはどーなるンだよ!」
「だから私が撃つわ」
「君が?だって─」
「私はKMJのメンバーよ。許可書は持ってるわ。でもルカのは日本では通じないはずよ」
「あ・・・」ルカは気がついたように小さく声を上げた。「─しかし・・・」
「大丈夫、銃の腕はジョー仕込みよ。貸して」ルカは仕方なしに銃をジュンに渡した。「いくわよ」
 ジュンは茂みに向かって銃を撃った。と、男が1人肩を押さえ倒れ込んだのが見えた。次は腕、次は足─
「見事な撃ち方だけどみんな外してるね」
「当然よ。彼らが何者かわかるまでは殺したくないわ。傷つけるのもほんとはいや」
「日本の警察というのは優しいんだな」
「・・・これが私の欠点よ」ジュンは撃ちながら呟くように言った。「ジョーに言わせればね」
「・・・・・」
 ルカは何も言わなかった。と、突然・・本当に突然銃弾の雨が途切れたのだ。
「あら・・」
 2人はゆっくりと顔を出した。
「どうしたんだ」
 ジュンは決心して立ち上がってみた。もし不意に撃たれても身を躱すだけの自信はあった。
 だが彼女の期待を裏切ってどこからも銃弾は飛んで来ない。
「ご退散かな?それとも出直してくるのか」
「どっちにしろ助かったわ」ジュンが深く息をついた。「もう少しあの撃ち合いが続いていたらこっちが危なかったわ。もう弾がないんですもの」
 ジュンはカセット式になっている弾倉を取って見せた。
「でも、これからどうしましょう」
「うん。ミスター神宮寺の車がここにあるという事は、もしかしたら彼らもこの近くにいるかもしれない。少し探してみよう」
「そうね」
 そう答えると淳はフェアレディを、ルカはポルシェを通行の邪魔にならないようにと道路と茂みの間にうまく隠した。
「さあ、いこう」
「ええ」
 車を隠した2人は互いに助け合いながら道路の上の林に入って行った。

 その頃ジョーとコトも大泉学園に向かっていた。やはり中西が知らせてくれたのだ。
 だがジョー達は関越自動車道は通らず石神井から大泉に入るコースをとっていた。
 2人の前にはさっきジョーが買ってきたホットドックとジュースが置かれている。ジョーは今1本食べ終えたところだがコトはまったく手をつけないでいる。ジュースを飲もうと缶を開けたがそれっきり両手でグッと握りしめたままだ。時々事はそれを頬に当てホーと息をつく。そのあとには数個の水液が残る。
「暑いの?クーラー入れてあげようか?」
「ううん、そうじゃないの・・いいの・・」
 そう言うとコトは親指を噛んだ。
 と、通信が入った。コトは反射的にマイクを取った。
「ハイ、あら中西さん」
『コト、ジョー、聞いてくれ』中西は少々あわてているようだ。『ジュンに連絡が取れないんだ』
「な、なんだって!?」2人は同時に声を上げた。「ジュンに!?」
『マイクが入りっぱなしになっていたらしい。銃声が聞こえたんだ。そして呼びかけてみたら・・返事が・・」
「・・ないのか」
 さすがにジョーの声は震えていた。
『ああ・・・』
「そんなまさかジュンに限って・・。それにルカもついているんだから」
『とにかくジョー、そこへ行ってみてくれ。関越を三原台から入り約1、3キロの所だ』
「わかった、中西さん。ありがとう。コト、ベルトを締めろ。飛ばすぞ」
 ジョーはステアリングを繰り車の方向を変えるとギアをトップにして三原台に向かった。
(あいつら・・やりすぎなければ・・・・・・・・いいが・・・)
 彼の目の前の速度計が100を指している。今の彼はいざとなったらパトカーとでも競争する気で愛車カウンタックを飛ばしていた。

 一方ジュンとルカはあれから林の中を歩き回り、今は一軒の山小屋風の家の前に立っていた。とてもシャレた感じのいい家だ。
「ねえ、これ見て」その家の前に落ちていたハンカチを拾ったジュンがルカに言った。「これマコのお気に入りのハンカチよ。ほら、縫いとりがあるわ」
「じゃあ、ミスターとマコはこの家の中に・・・」
「・・・・・」ジュンは少し考えた。「それにしてはよく出来過ぎているわ」
「うん・・・。乗り捨ててあったミスターの車、そして落ちていたマコのハンカチ─。確かに出来過ぎてはいる。だけど─」
「だけど?」
「たとえワナだとしても、おれ達はそこへ飛び込んで行くだろうな」そう言うとルカはジュンを見て微笑んだ。ジュンも同意するように微笑み返した。「さあ、行こう」
「ええ!」
 ジュンは力強く頷いた。
 まずルカが先に立ち、その家のドアに手を掛けてみた。鍵は掛かっていなくドアは音もなく開いた。ルカが後ろを向くとジュンは軽く頷いてみせた。
「よし、入ってみよう」
 2人はそっと家の中に入ってみた。と、そのとたん2人が立っている当たりの床がなくなったのだ。
「キャア!」
「ジュン!」ルカはとっさにジュンの腕を掴んだ。「はぐれるな!」
 そのまま2人は真っ暗な空間へと落ちて行った。

「ジョー、あれよ!」前方を見ていたコトが指をさした。「ミスターとジュンの車だわ!
「よし!」ジョーは2台の車のそばにカウンタックを停めると飛び降りた。「─いない」
 もちろん2台共誰も乗ってはいない。だが車はどこも傷つけられてはいない。
「ジュンは私達より先に力さんの車を見つけたのね。でもどこへ行ったのかしら」
「歩きならまだそう遠くへは行っていないだろう。どうする?コトは─」
「どうするって?」
「ここから先は危険だらけかもしれないぞ」
 するとコトは軽く微笑んで言った。
「私はSメンバーKMJの1人よ」
「─そうだったな」ジョーも軽く笑って返した。「よし行こう。ただしおれから離れるなよ」
「ええ。ジュンには悪いけど」
 ジョーはその言葉に苦笑するとカウンタックに戻って愛銃ワルサーP38コマーシャルを取り出し上着の内ポケットに納めた。そしてコトには予備のコルト・ポケットを渡した。
「女の子にはちーと扱いにくい代物だが、まっ、ないよりましだろう」
「ありがとう」コトはコルト・ポケットを持つのは初めてなのでその握りを確かめてみた。「とっても扱いやすいわ、ジョー。よく手入れがしてあるわね」
 2人は林の中を歩きながら話した。
「あたりまえだ。銃はおれの体と同じさ。しょっちゅ風呂に入れてるよ。もっともそいつはつい最近手に入れたばかりだから、まだ完全におれの物にはなっていないがね」
「でもいい銃だわ」
「そりゃおれが選んだんだもの、あたりまえ─ん?」
「どうしたの、ジョー?」
 ジョーは急に話をやめ、1本の大きな木の元に急いだ。
「見てごらん、コト」ジョーはそこに落ちていた物を拾ってコトに見せた。「コマンドだ」
「ジュンのコルト・コマンドね」
「ああ」ジョーは弾倉を抜き中を覗いた。「弾丸が1発もない・・・。みんな撃ち尽くされている・・・」
「じゃあ、中西さんが聞いた銃声って・・・やっぱり・・・」
 コトの言葉にジョーは答えなかった。彼はズボンのポケットからハンカチを取り出すとコマンドを包み、またポケットにねじ込んだ。
「とにかくもう少し行ってみよう。この銃がここにあるという事は少なくともジュンとルカは1度はここに来ているはずだ。いや、まだそこら辺にいるかも」
「ええ」
 コトはジョーの肩に軽く手を置き答えた。ジョーはその手を取ると彼女に向かって微笑みさらに林の奥へと入って行った。


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