コールナンバー ダブルJ

国際秘密警察スペシャル(S)メンバーと呼ばれる男達のお話です
Posted by  朝倉 淳

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Posted by  朝倉 淳   2 comments   0 trackback

熱い奴ら


「あち~~」デスクからソファに逃げ、ジョーが声を上げた。「こんなに暑い所でデスクワークなんか やってられるか!エアコン全然効いてねえし」
「設定温度を上げるなよ。今年は節電の夏だからな」
「28度だなんて高すぎるぜ」
「我慢しろ」自分のデスクから顔を上げ神宮寺が言った。「おれ達にはこれくらいしかできないんだから」
「ん・・・」
 ちょっと鼻を掻きジョーが口を閉じた。
 あの大震災から5ヶ月。当時、彼らは救助活動はもちろん捜索活動にも参加できなかった。
 国際警察という特異性もあったが、2人はそれぞれ別の場所でアクシデントに見舞われていたのだ。地震や津波の被害、そして原発事故を知ったのは震災から3日経っての事だった。
 節電をしなければいけないのはわかっているが、筋肉量の多いジョーは暑がりだ。
「だけど暑いものは暑い。プール行こうぜ、神宮寺。六本木のホテルの」
「プールサイドでなんか始末書は書けないぞ」
「書かねえよ!」バンッ!と書類をぶっ叩く。「なあ行こうぜ、プール。水着の可愛い娘ちゃん見に行こうぜ。こんなとこにいたら、〝トンデヒニイルナントカノムシ〝になっちまうぜ」
「・・・使い方、間違ってるぞ」そう言う神宮寺だが、彼だって節電気味の室内より水着の・・・いや、プールの方がいい。「屋上に造ってくれればいいのにな、プール」
「なに言ってんだよ!ここに水着の可愛い娘がいると思うか!?」
「・・・・・」JBにも少ないが女性職員はいる。そのほとんどがよりに近いが。「お前の目的はどこだ?」
「涼しくて眼の保養になればどこでもいい!」
「・・そーだよな」
 小さく息をつき神宮寺が頷いた。
「始末書10枚溜まったらプールへご招待!とか、ねえかな」
「反対に灼熱地獄へ送られそうだ」今までマイペースで仕事をしてきたので感じなかったが、ジョーのグチに付き合っているうちに神宮寺も暑さを感じてきた。「プールは無理だけどシャワーでも浴びてこようかな」
「お前さぁ、なんでそう簡単に諦めちゃうわけ?おれ達は無敵のダブルJだぜ。やってやれない事はないっ」
「まるで小説のキャッチコピーだな」
 ジョーをあしらいながら指はキーボードを叩いていく。
 日本の将来への漠然とした不安。何かしていないと悪い事ばかり考えてしまう。こんな自分は嫌いだ。〝プール~!〝と騒いでいるジョーが羨ましくもねたましく感じてしまう。
「よし、神宮寺。勝負しようぜ。それでおれが勝ったらプールに行くというのはどうだ?」
「・・・・・」
 勝つとか負けるとかは関係ない。今はまだ仕事中なのだから。
 しかし神宮寺はジョーの自由奔放な(・・自分勝手な?)想いを羨ましく思った。だから、
「いいぜ。で、なんの勝負をする?」
「そうだな・・・」室内をグルリと見回し、ジョーの目がエアコンを捕らえた。「室内温度を上げての我慢大会はどうだ? “暑い”と言った方が負けだ」
 と、古典的な方法が提示された。
「おれはかまわないぜ」
 と、神宮寺はエアコンのリモコンを手にし、ピピピ・・・と押していく。
 かすかに涼風を吹き出していたエアコンからやがて暖かい・・・いや、熱い風が吹き出してきた。ダブルJ室は学校の教室くらいの広さだ。だが強力エアコンが室内を暖めるのにそう時間は掛からなかった。
「設定温度35度だ」
「うーー」ジョーが唸る。「まだまだ・・・このくらいだったら・・・」
「そうか?じゃあ、もう少し」ピピピ・・・ 「あ、38度?」
「そ、それって・・・」もはや暖房の域だ。「お前は大丈夫なの?」
「まーね。〝心頭滅却すれば火もまた涼し〝といったところかな」
「〝シントー〝じゃなくて〝カントー〝(関東)がえらい事になってるぜ」だが、ジョーも男だ。ここで弱音を吐くわけにはいかない。「涼しくはねーよな。うん、涼しくねえ」    
「素直じゃないね」神宮寺はさらに温度を上げる。「40度まで行ってもいいか?」
「・・・あのさ・・神宮寺」
「なんだ?もう根を上げるのか?」
「いや・・おれ達、なんのために設定温度を抑えていたんだっけ・・・」
「それは節電のために決まってだろ」
「設定温度を上げても節電になるのかな」
「・・・あ」
 今の外気温度に対して冷房と暖房のどちらが電気を多く使うのかはわからないが、〝節電〝とはほど遠いのはわかる。
「これって、〝ホントウにテントウ〝って言うんだろ」
 違う。だが─。
「なんだか熱い目に遭うような気が・・・」
「やめろ!お前がそう言うとロクな事が─」
 と、森からの通信が入った。室温を上げたのがバレたか?
『ダブルJ出動だ。国際手配されている男の行方がわかった』
 ダレそうになっていた神宮寺の顔がキリッと締まった。おっ、とジョーもソファから体を起こす。ナンダカンダ文句を言っても、〝出動〝となるとやはり身が引き締まる。
『場所はモンゴル。ゴビ砂漠の近くの─』
「ゴビ砂漠!?」
「げっ!まだ10枚溜まってないのに!?」
『なんだって?』
「い、いえ、なんでもありません」
 答え、神宮寺がため息をついた。ジョーがジロリと相棒を睨んだ。


                     
                                           おわり
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Comment

淳 says... "覚書き"
涼しくなってから読んでも、あまり実感はないなぁ。
ま、思いついたので・・・。
2011.09.30 16:18 | URL | #vDtZmC8A [edit]
says... "管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011.10.02 16:04 | | # [edit]

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